（6） 対 が ん 協 会 報 2015年9月1日
が岩手県での取り組みだ。同県ではま ず西和賀町の高校と小学校を推進校に 指定してモデル授業を行い、その実践 を踏まえて10月に行われる教職員対 象の「岩手県学校保健講習会」を開催 する。
める声がますます高まっている。 昨年度からは単発の学校行事で終わ らないように、地域の教育現場や保健 行政などの意見交換の場を設けて「点 から面へ」活動を広げてきた。 今年度は各県の教職員対象研修にも 協力することになった。その第一回目
だ。
県教育委員会指導主事兼保健体育主 事の高橋雅恵さんは西和賀高校をモデ ル授業の場に選んだ理由に、やはり生 命尊重の歴史を持つ地だからと話す。 菅野慎一校長も以前病弱な子どもたち が通う学校に勤務したことがあり、小 児がんの子どもたちの教育に携わった 経験を持つ。そんな背景からモデル授 業が実現した。
西和賀高校ではモデル授業に先立 ち、養護教諭の及川明奈先生が 学年ごとにがんについて正しく 理解するための事前指導を行っ た。がんの基礎知識を教え、グ ループ毎にがんについての疑問 や質問を見つけてもらった。当 日掲示された生徒たちの質問 は、がんの仕組みから、どうい う経過を辿るのか、がんになっ た時の気持ち、家族ががんにな ったらどういう風に支えてあげ たら良いのかなど、多岐にわた 文部科学省が2014年度から開始し
た「がんの教育総合支援事業」を受け て、全国の学校現場でがん教育への取 り組みが加速している。とはいえ、学 校現場では「どう取り組んだら良いの か」と頭を抱えているのが実情だ。そ んな中、日本対がん協会への協力を求
な面を入れると未来志向で良い」 など好意的な意見が多かった。 意見交換会の参加者にも自分が がんを経験したり、身内をがんで 亡くしたりした人もおり、「自分 の経験はまだ冷静には話せない」 という率直な声もあった。一方、 「自分もがんを経験したが、その
経験からいってもやはり知識は絶 対大事」という意見もあり、様々 な立場から熱心な意見交換が行わ れた。
なってしまう人もいる。脅かしで なくどう教えるか」、「小学生は単 純なので、ちょっとした情報でこ ろっと考えが変わってしまう。だ からこそ一層慎重さが必要」など 難しさを語る意見が多かった。岩 手県支部からは「小学生の教材には 『がんちゃんの冒険』が好評だった。
子どもの反応がとてもよかった」と いう声も。
高校生については「高校生が最 適、グループワークをすると反応 が良かった」「職業につなげるよう 講演の後に意見交換会が行われ
た。西和賀高校の教員の他、岩手 県医師会理事、次に授業を行う町 立小学校の教諭、養護教諭や校 長、県や町の教育委員会、以前か らがんを含む生活習慣病に関する 出前授業を実施してきた日本対が ん協会岩手県支部など、大勢の関 係者が参加して、佐瀬教授を中心 に熱心な意見交換を行った。 小学校の教諭からは「何を教え たらいいのかむずかしい。予防教 育はできるが、予防してもがんに 岩手県立西和賀高校で８月18日、 全校生徒106人に向けてがん教育のモ デル授業が行われた。講師は日本対が ん協会とともに精力的にがん教育の出 張授業を行っている、順天堂大学大学 院医学研究科の佐瀬一洋教授。佐瀬教 授は10月の教職員対象の「岩手県学校 保健講習会」でも講演する。
西和賀町は県でも有数の豪雪地帯。 前身の旧沢内村時代から「豪雪・貧困・ 多病多死」に苦しめられた歴史を持つ が、1962年には全国で初めて乳児死 亡率ゼロを達成した自治体として有名
2015年度の取り組み始まる。
各地で高まる協会への期待
生 命 尊 重 の 地 で 出 張 授 業
意見交換会 時間延長して熱心なディスカッション
がん教育
全校生徒に語りかける佐瀬先生
生徒たちの質問を掲示
岩手県西和賀町
り、その問題意識の高さに佐瀬教授も 驚いていた。
